轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ばらとみこ

薔薇と巫女

小川 未明

「早稲田文學」1911(明治44)年3月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,174 字 · 15 页

青空文庫

而して眠る時も、枕を東にするか西にするかと惑うようになった。

而して、人に遇うたびに不思議な怖しい話を知らないかと聞いて迫った。人がその様な怪談をする時には、きっと彼の顔は青ざめて、窓の外に誰か自分を待っているように体をもじもじさせながら怪しく眼が輝くのが常であった。

彼の友達は、彼を神経病だと言い始めた。

或年の夏もやがて過ぎんとする時、この青葉に繁った村へ一人の若い巫女が入って来た。自からはその女を見なかったが人々の噂によれば、眼が黒く大きくて、頭髪が鳶色に縮れていて頬が紅かったという。けれどこの村の人でその巫女を見た者は真に僅かばかりに過ぎなかった。

子供等が桑圃の中で、入日を見ながら遊んでいると黒い人影が、真紅に色づいた彼方の細道を歩いて来た。それがこの巫女であった。巫女は子供等に向って隣村へ出る道を聞いたそうだ。

ちょうどこの時、村の或る一軒の家で、娘が大病に罹っていた。命がとても助らないと知って親類の人々がこの家に集っていた。一室の裡は簷に垂れかかった青葉の蔭で薄暗かった。何となくしんめりとして水を打ったようであった。病める娘は、痩せ衰えて、床の中から顔を出していた。