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おやどりことり

親鳥子鳥

佐々木 邦

「キング」大日本雄辯會講談社、1925(大正14)年10月~1926(大正15)年10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 88,828 字 · 181 页

青空文庫

「新郎A君は○○銀行頭取○○○○氏の長男、○○大学を十年計画にて卒業したる鈍才、正当ならば就職難、但し親の威光にて近々○○○○株式会社に勤務の見込、新婦B子さんは○○県○○郡の素封家○○○○氏の長女、容貌お化粧をして漸く十人並み、○○市高等女学校を半途退学、目下家庭にありて家事見習中なれど、継母との折り合い兎角よろしからず……」

というような現実曝露は決して見受けない。皆才子佳人である。但し親が町家か百姓で肩書のない場合には新聞社の方で然るべく計らってくれる。

「新郎清太郎君は商科大学卒業の秀才にして海軍主計監河野信広氏の令甥、新婦秀子さんは三輪田女学校出身の才媛にして獣医学博士烏森進氏の令姪……」

といった具合に書く。獣医学とは博士を捜した跡が歴然としている。息子と息女の結婚でなくて、甥と姪の祝言にしてしまう。

「帝国ホテルの披露会一切を背負って立つ親達は単に縁の下の力持ちを勤めるんだから気の毒だよ。しかし何か肩書をつけないと折角紹介してやっても、何人も読んでくれない。矢っ張り社会が然う書かせるのさ」

とお父さんはこんな何うでも宜いことでも必ず社会に責任を負わせる。