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おやどりことり

親鳥子鳥

佐々木 邦

「キング」大日本雄辯會講談社、1925(大正14)年10月~1926(大正15)年10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 88,828 字 · 181 页

青空文庫

と妹の郁子が公平な断定を与えた。

「いいや、おッつかッつさ。未だ未だ伸びるだろうから、来年は負ける」

「千駄ヶ谷の叔父さんぐらいになりますよ」

と僕はお父さんの背では満足しない。

「叔父さんぐらいが限度だね。あれより高いと注意を惹き過ぎる。日本人は矢張り五尺六寸ぐらいが一番見頃さ」

とお父さんは好いことなら大抵自分を標準にする。

郁子から浩二まで四人皆大きくなって褒められた後、お母さんは反対に若くなって褒められた。

「少し派手でしたわね?」

と初めお母さんは着替えた浴衣の柄のことを言ったのだった。

「いいや、派手なことはなかろう。よく似合うもの」

「然うでしょうか」

「恐れ入った。然うして澄ましているところはお嫁に来る前とそんなに変らないようだよ」

とお父さんが諢った。

「まあ、大層評判が好いんですね」

とお母さんは若いと言われるに無論苦情はないようだった。

その時の感想をお父さんは句に現したのである。お母さんが昔ながらに若く見えるという句は麗々しく柱にかけて置くべき性質のものでないから机の中へ仕舞い込んで、僕の方丈けを張り出しにしたのである。それだから何方が会心の作か一寸判断に苦むが、兎に角僕の成長をこれほどまで祝してくれたかと思ったら嬉しかった。