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おやどりことり

親鳥子鳥

佐々木 邦

「キング」大日本雄辯會講談社、1925(大正14)年10月~1926(大正15)年10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 88,828 字 · 181 页

青空文庫

俺は感心した。隠居へ来て火鉢の側へ坐っていたが、間もなく『お祖父さんお祖父さん』と俺を呼んでね……」

とお祖父さんは煙草の灰を落す為めに言葉を途切らせた。

「それで感心なすったの?」

と敏子は早速第一矢を放った。郁子と目くばせの中に今日は攻勢を取ることと相談が定ったのである。僕は側から仔細に打目戍っている。平常は学校と入学試験準備に忙しくて、日曜大祭以外には例の観察修行の暇がない。

「いや。火鉢のところに坐っていて、『お祖父さん、この鉄瓶がお父さんなら、この銅壷はお母さんね。二つで夫婦のようね』と言ったのさ。俺は悉皆感心してしまった」

「あら、それぐらいのことなら何処の子でも言いますわ」

と今度は郁子が勘定高く出た。

「いや。ナカナカ然うは言えないよ。この鉄瓶と銅壷を見ても分るが、如何にも調和が好い。何方にも苦情はないようだ。円満な夫婦らしい。俺も年来そんな感じがしていたのだけれど、浩二に言われて、成程と思い当ったのさ。負うた子に浅瀬を教えられるというのはこのことだよ。鉄瓶と銅壷を夫婦と見立てたところが宜い。それじゃこの火鉢は何だろうと訊いたら、『火鉢は男でも女でもない』