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おやどりことり
親鳥子鳥
佐々木 邦
「キング」大日本雄辯會講談社、1925(大正14)年10月~1926(大正15)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 88,828 字 · 181 页
いやはや、感心いたしました」
と杉山さんは扇子をパチパチさせながら離れへ通った。
「オホホホホホ」
と郁子と敏子は申し合せたように忽ち畳に突っ伏した。
「聞えますよ」
と制したお母さんも怺え兼ねてクックと笑い始めた。
僕はこれは一寸面白い観察が出来ると思って、そのまま勉強部屋へ戻った。
「英国の将軍なら間違にしても多少道理がありますよ。ブルドッグは英国の将軍と同じことで押し出しばかりです。迚も日本の土佐犬には敵いません」
とお祖父さんは一笑いした後、国粋論を持ち出していた。一騎討ちなら英国が独逸を負かす筈はないという信念がブルドッグ将軍の話で再び呼び覚まされたのである。熊谷は坊主になっても軍馬の物音を聞いて木魚を叩き破ったというが、独逸仕込みは退役になっても独逸仕込みだ。何彼につけて英国が憎い。不幸にして独逸にはブルドッグに匹敵する犬がいないから、土佐犬を担ぎ出したのである。
「当時は横文字流行ですから、私のような昔ものは戸迷いを致しますよ。薬一服買いに行ってもまごつきます。この夏も男爵邸の植物園で一大発見を致しました」
と杉山老は能く大発見をする人だ。