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かいせつ しゅみをつうじてのせんせい

解説 趣味を通じての先生

額田 六福

「舞台 岡本綺堂追悼号」1939(昭和14)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,362 字 · 11 页

青空文庫

こうした遠足は、湯の旅の外に、必ず年に春秋二度位ずつあった。桜の国府台なぞには二度も行った。帝釈様へ参詣して、名物の大煎餅なぞ竹につけてかついで、ブラブラと歩いた。

「どう見てもみんな仕出しだな。」

と笑われたりした。そこの草餅屋へ入って、そのまずさに、流石に閉口された事なぞも思い出の一つである。こうした日の帰りには浅草かどっかへよって、一同御馳走になるのが例だった。

*

こうした思い出を書くと限りがない。最後にお祭がすきだった事、火事が好きだった――と云うと語弊があるが――事を書いて筆を擱く事にしよう。

湯治先から等の手紙で、

「何月何日はお祭だから、それまでに帰る。」

と云った意味の手紙をよく貰った。そして、キッとその通り戻って来られた。と云って、氏子総代の中に交って神輿の渡御の供に立たれると云うわけではない。ただ、赤飯を焚いて、軒提灯を吊して、祭らしい一日を送るのが楽しみだった様である。元園町時代には、神輿舁に祝儀を打って、宅の前で神輿を揉むのを興がられたと云う話もあった。如何にも江戸っ子らしい面目が溢れている。

*

火事は好きだったが、地震は大嫌いだった。