轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ろんごものがたり

論語物語

下村 湖人

「現代」大日本雄弁会講談社、1938(昭和13)年

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 132,688 字 · 266 页

青空文庫

幸か、不幸か、彼は尻を突き上げられて、遽かに自分にかえった。そして思わず、

「あッ、これはいけない!」

と叫んだ。御者はそれを聞くと、少し馬の手綱をしめながら、

「このごろは、人民共が、路の修繕をなまけて居りまして。」

と云った。しかし王孫賈の心は、全く別のことに支配されていた。彼は古代帝王の禅譲にまで発展した自分の連想を、急いで揉み消そうとして、しきりに胸のあたりを撫でていたのである。

(3こんな空想を抱いたままで、孔子の前に出たら、それこそ何もかもおしまいだ。彼はすぐ相手の心を見すかしてしまうのだから。ついこの間も、彼はわれわれに対して、人間というものは、どんなに自分を隠そうとしても、見る人が見ると、すぐ正体を現わすものだ、といって、人物の鑑識法を教えてくれたが、聴いていてうす気味が悪かった。彼の鑑識法というのは、人の行為やその動機を見ると共に、その人の心に落ちつきどころ、つまり、何を真に楽しみ、何に心が安んじているかを見よ、というのだが、彼は相手のほんの一寸した眼の動きかたからでも、すぐそれを見ぬいてしまうのだから、たまらない。とにかく、孔子の前に出るには、私心は絶対禁物だ。