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ろんごものがたり
論語物語
下村 湖人
「現代」大日本雄弁会講談社、1938(昭和13)年
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 132,688 字 · 266 页
彼等の中には苗のままで花をつけないものもあろう。また、花をつけても実を結ばない者もあろう。だが自分は退いてはならない。2なぜなら、自分は彼等を愛しているからだ。彼等の忠実な友でありたいからだ。愛する以上は彼等に苦労をさせなくてはならない。忠実な友であるためには、倦まずたゆまず彼等に誨えてやらなければならない。それが天の道を地に誠にする所以だ。自分がここで一歩退いたら、天の道が一歩退くことになる。3道の実現は、たとえば山を築くようなもので、あと一簣というところで挫折しても、それは全部の挫折だ。また、でこぼこの地をならすようなもので、たとえ一簣の土でもそこにあけたら、それだけ仕事がはかどったことになる。道は永遠だ。一歩でも進むにこしたことはない、そして進むも退くもすべては苦難と妥協しないこの心一つだ。)
彼はもう何の疲労も感じない人のようであった。彼は威儀を正して子路を顧みながら、低い、しかし、はっきりした声でいった。
「詩に、に匪ず虎に匪ず、彼の曠野に率う、という句があるが覚えているかの。」
「覚えています。」
「その意味は?」
「人間は犀や虎のような野獣ではありません。