轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ろんごものがたり

論語物語

下村 湖人

「現代」大日本雄弁会講談社、1938(昭和13)年

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 132,688 字 · 266 页

青空文庫

「でも、どこの家でも今ではその型のものを使っています。第一、稜のある觚なんか、店で売っておりませんので。」

「ふむ、売っていないのか。しかし、これは觚ではない。觚ではない。歎かわしいことじゃ。」

孔子は首をふった。それから、眼をとじて、また考えはじめた。

門人はいよいよわけが解らなくなった。彼は、おずおず、孔子の前に並んでいる觚を重ねはじめた。すると孔子は、急にやさしい声をして云った。

「まあ、お掛け。觚はそのままでいい。」

門人が腰をかけると、孔子はしずかに話し出した。

「何物でも、その特質を失うことは、よくないことじゃ。そこに道の紊れるもとがある。」

門人は、孔子が何を考えていたかが、やっとわかって、急にいずまいを正した。

「1人間には人間の特質がある。その特質を守るところに人間の道があるのじゃ。とりわけ中庸の徳は至高至善のもので、それを忘れたら、名は人間であっても、人間の実があるとは云えない。」

ここで孔子は、ふたたび、自分の前に並んでいる觚を、まじまじと見つめた。そして、いかにも思い入ったように云った。

「名実相伴わない世の中になって、もう久しいものじゃのう。