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まけないおとこ
負けない男
佐々木 邦
「講談倶楽部」大日本雄辯會講談社、1930(昭和5)年1月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 98,799 字 · 202 页
「何あに、あるからさ」
「あるものか?」
「頭にある」
「又絡んで来たよ」
「二十五日よりも二十七日の方が頭にあるからさ」
「それなら無論ある。今朝のヨタ記事も要するにその結果さ」
「斯う正直に来られても困る」
「ハッハヽヽ」
と堀尾君は二人について会計係へ出頭した。
十二月はボーナスの出る月だから、皆期待があって、仕事を始めない中から会計係へ押し寄せる。もう大勢来ていた。しかし堀尾君は当てがない。取り定めの時、亀田さんは月四十円と言ったきり、ボーナスの問題に触れなかった。
「駄目だったね」
「悲観々々」
と三輪君と芳野君は帰りに廊下でもう内容の傾向を語り始めた。いつの間に開けて見たのだろうかと、堀尾君はその早業に驚いた。
「何うだったい?」
と三輪君は尚お堀尾君の分まで問題にした。
「未だ見ない」
「ゼントルマンは違う」
と芳野君もゼントルマンと見えて、金の話はもうそのまゝに打ち切った。
編輯室へ戻ってから間もなく、
「三輪君」
と堀尾君の方から申入れた。
「何だい?」
「僕の隣りの人には驚いたよ」
「おれかい?」
「いや、君じゃない。今会計で判を捺す時見たんだが、僕の隣りの堀って人さ。