轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
まずしきひとびとのむれ
貧しき人々の群
宮本 百合子
「中央公論」1916(大正5)年9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 59,959 字 · 118 页
私の生活に意味のある間は死ねない。
けれども私の今直ぐ傍では、こうやって二人も死んでいる。而も皆尋常(なみ)の死にようをしたのではないじゃあないか?
私が若し、あの夜あの林へ行きかかって新さんの死のうとするのを助けたとしたら?
私は一生懸命に止めるだろう。体をなおしてまた働くようにと云うだろう。けれどもそれでほんとうに助けたといえるだろうか。私には、どうしても、ただあのとき、あの木の枝から新さんを離しただけのことじゃあないか。
私は新さんの一生を守って暮すことは出来ない。年中心を励ましつづけてはいられない。そして、僅かばかり療治され、金をもらい、貧しく辛く淋しい世の中に突き出されたところで、何がうれしかろう。
「俺れは救われた。けれどもどうしようというのだ? 前よりも辛い思いをし、苦しみもがいて生かして置かれることはちっとも欲しくないのだ! お前は一人の人間を助けたということに満足して、いつまでもたのしむだろうが、俺れはいつでも、『あのとき死んだら』と悔まなくちゃあならぬ」
私はほんとうに、若しあのとき新さんを助けたところで、一生を確かに強く、虐げられずに送らせることが出来なければ、何でもないことになってしまう。