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あしがるほうこう

足軽奉公

山本 周五郎

「講談雑誌」博文館、1945(昭和20)年1月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,949 字 · 28 页

青空文庫

「たかが足軽ではないか、刀を差しているというばかりで、かたちは武士でも中間小者と選ぶところはない、いわば道傍にわけもなく生え伸びている雑草も同様だぞ」

「そうだ、その点を明確にすべきだ」

続けて別の者がどなった。

「……その区別を明確にしないからのさばる、第一かれらが槍術をやるのからして僭上だ、ちょっと槍の持方でも覚えると、もういっぱしの武士にでもなり兼ねない面つきで、肩を怒らしてのしまわる、雑草は端から刈るべきだ、おのれの身分を知らしめなくてはいけないぞ」

ここまで聞くと、藤六は全身を震わした。おのれらはさむらいの本分をさえ忘れているのに、ただ武士であるからというだけで、人を貶める、それも程度こそあれ、中間小者に等しいとか、わけもなく生え伸びる路傍の雑草とは過言も甚だしい、藤六は歯がみをしながらひき返そうとした、するとなお無遠慮に、

「いちどかれらを懲りるほど叩きのめしてやるがいいのだ」

というのが聞えた。

「……なに主なやつ二三人やれば、あとは縮みあがってぐうの音も出はせぬよ」

藤六は我慢の緒を切った。かれは大股に庭へ踏み込むと、広間の縁先へぐっぐと近寄り、声いっぱいに、