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あしがるほうこう
足軽奉公
山本 周五郎
「講談雑誌」博文館、1945(昭和20)年1月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,949 字 · 28 页
「よろしい叩きのめして頂こう」
と絶叫した。
「足軽は雑草も同様だという言葉たしかに聞いたぞ、何百石という相恩の食禄を頂いて、無為徒食する貴公たちの眼から見たら、足軽などは人間の数にはいらぬかもしれぬ、しかし泰平なればこそさような痴言も吐けるのだ、いざ合戦となった場合どちらが御馬前の役にたつか、叩きのめすという言葉こそ幸い、心得のほどを此処で拝見つかまつろう」
広間には十五六人いた、もともと酒興から出た無責任な暴言だったので、眼の前に藤六があらわれると共にみんなぴたりと口を噤んだ、それがさらに藤六の怒りを煽った。
「どうした、偉そうに蔭口はきいても、いざとなると出る者はないのか、雑草を刈る者は一人もないのか」
「……拙者が相手をしよう」
そう云いながら、一座の中から立って来た者があった、横井鉄之助である、……藤六はあっと息をのんだ。鉄之助、――そうだ鉄之助がいたんだ、しまった。思わず呻いたが、それと同時に、
「いや鉄之助もこの座にいた、かれも足軽を誹謗する者のなかまだった」
そういう忿懣がこみあげてきた。
「何誰でもこちらに選り好みはない」
「だれか稽古槍を二筋たのむ」