轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
てんき
転機
伊藤 野枝
「文明批判 第一巻第一号、第二号」1918(大正7)年1月、2月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 33,656 字 · 67 页
私と山岡が、今尋ねて行こうとしている人達の住居はそこなのだった。連れの男は折々立ち止まっては、おくれる私達を待つようにして、一言二言話しかけてはまた先にずんずん歩いていく。道に添うて、先刻はただ一と目に広く大きいままに見た景色の中につつまれた、小さな一つ一つのみじめな景色が順々にむき出しにされて私達を迎える。いつか土手に添うた畑地はなくなって、土手のすぐ下の沿岸の、疎らになった葦間に、みすぼらしい小舟がつなぎもせずに乗り捨ててあったり、破れた舟が置きざりにされてあると見てゆくうちに、人の背丈の半ばにも及ばないような低い、竹とむしろでようやくに小屋の形をしたものが、腐れかかって残っていたりする、長い堤防は人気のない沼の中をうねり曲って、どこまでも続いている。
山岡は乾いた道にステッキを強くつきあてては高い音をさせながら、十四五年も前にこの土地の問題について世間で騒いだ時分の話や、知人のだれかれがこの村のために働いた話をしながら歩いていく。
「今じゃみんな忘れたような顔をしているけれど、その時分には大変だったさ。それに何の問題でもそうだが、あの問題もやはりいろんな人間のためにずいぶん利用されたもんだ。