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てんき

転機

伊藤 野枝

「文明批判 第一巻第一号、第二号」1918(大正7)年1月、2月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 33,656 字 · 67 页

青空文庫

私はそれをTのように単に幼稚なセンティメンタリズムとして、無雑作に軽蔑することもできないし、無視することもできないのだ。

私がたまたま聞いた一つの事実は、広い世の中の一隅における、ほんの一小部分の出来事に過ぎないのだ。もっともっと酷い不公平を受けている人も、もっと悲惨な事もあるかもしれないということくらいは、私にも解らない事はない。けれど私は、それ等の事実にかんがみて、直ちに「まず自分の生活をそのように惨めに蹂躙されないように、自分自身の生活から堅固にして行かねばならぬ」と考えてしまうことはできない。もちろん、まず自身の生活に忠実であらねばならぬということは、私達の生活の第一義だとは、私も考えるけれど、私自身の今日までの生活を省みて、本当に自分の生活を意のままにしようと努力して、その努力に相当する結果が、一つでも得られたろうか? 私達は大抵の場合、自分達の努力に幾十倍、幾百倍ともしれない世間に漲った不当な力に圧迫され、防ぎ止められて、一歩も半歩も踏み出すことはおろか、どうかすれば反対に、底の底まで突き落されはね飛ばされなければならなかったではないか? ただ、「正しく、偽わらず、自己を生かさんがために」