轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
てんき
転機
伊藤 野枝
「文明批判 第一巻第一号、第二号」1918(大正7)年1月、2月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 33,656 字 · 67 页
しかも、その一本の枯れた木に、四辺の景色が、他の一帯に生気を失った、沈んだ、惨めな景色よりも、いっそう強い何となく底しれぬ物凄さを潜めているような感じさえする。
行くほど空の色はだんだんに沈んでき、沼地はどこまでともしらず広がり、葦間の水は冷く光り、道はどこまでも曲りくねっている。連れの男はずんずん先に歩いて行くので、折々姿を見失ってしまう。二人の話がとぎれると、私達の足元からもつれて起こる草履と下駄とステッキの音が、はっきりと四辺に響いてゆく。黙って引きずるように歩いている自分の足音を聞きながら、この人里遠いあたりの荒涼たる景色に目をやってゆくと、まるで遠い遠い旅で知らぬ道に踏み迷っているような心細さがひとりでに浮かんでくるのであった。
「どうしたい?」
「まだかしら、ずいぶん遠いんですね。」
「もうじきだよ。くたびれたのかい。もっとしっかりお歩きよ。足をひきずるから歩けないんだ。今から疲れてどうする?」
「だって私こんなに遠いとは思わなかったんですもの、こんな処、とても私達だけで来たんじゃ解りませんね。あの人が通りかかったので、本当に助かったわ。」
「ああ、これじゃちょっと分らないね。