轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

はちのき

鉢の木

山本 周五郎

「講談雑誌」博文館、1944(昭和19)年6月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,534 字 · 28 页

青空文庫

二

さまも、むかし館城だったことを明らかに示している。しかし武家造りのその表門はいつもかたく閉められたままで、男ばかり二十人ほどの家僕がいるほか女というものは老婆のかげもなく、ひっそりとして、人の出入りも稀なほど静かな暮しをしていた。

二

四郎兵衛は持物を買って貰うために時おり佐伯家を訪れた。けれども応待に出るのは権之允という老人の家扶で、あるじ又左衛門にはいちどしか会ったことはなかった。そのときの印象では背丈こそ高く人品こそ秀でていたが、いかにも痩せた骨細のからだつきで皮膚の色も白く、眉間には憂鬱な、無感動な性格が刻みつけられているようで、青年らしい精気というものがまるっきり感じられなかった。――これだけの豪家に生れつきながら可哀そうになが生きはしないぞ、四郎兵衛はそのときそう考えたことを覚えている。すると住みついて一年ほどした或るとき、権之允という老家扶が藪下の家へ訪ねて来た、用むきというのは、萩尾を佐伯家の嫁に欲しいというのである。はなしを聴くと当の又左衛門がぜひとの望みで、したくはむろん全部ひきうけるし、四郎兵衛の身の上についても然るべく相談に乗ろうということだった。