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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(六)結納の行方

野村 胡堂

野村胡堂『銭形平次捕物控(六)結納の行方』。同一底本的分册已合并为一书。收入:銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、随筆銭形平次。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 142,597 字 · 289 页

青空文庫

「ハッハッ、そいつはよかった」

「よかアありませんよ。あんな無法な人間をあっしは見た事もない――玄関側から、木戸を押して、奥庭へ入りかけると、いきなり、コラッピカリと来るじゃありませんか。コラッは呶鳴ったんで、ピカリは引っこ抜きですよ」

「註を入れるには及ばない――で、様子は解ったかい」

「解るの解らねえのって、憚りながら、殿様の夜具の柄から、お女中達の昼のお菜まで判りましたよ」

「そんな事はどうでもいい」

「ところが、それが大事なんで――殿様は三年越しの御病気、少々気が変だということですが、とにかく寝たっきり、奥方の百枝様はまだ若いし、若様の鶴松様は五つ、家の中は、ニヤリニヤリの勇三郎――こいつは殿様の弟で、三十二三のちょいと好い男だ――それと癇癪持の用人、石沢左仲の二人が切り盛りしています」

「…………」

「ところが、十二三日前、若様の鶴松様が、晩の御食事の後で急に腹痛を起し、一度は引付けなすったが、金助町では手が届かないというので、暁方用人の左仲がお伴をして、御里方へ伴れて行った。今では御徒士町の吉田一学様のところにいるが、奥方は毎日見舞い、弟の勇三郎も時々見舞っているが、いい塩梅に持ち直して、二三日でけろりと治り、今では元の身体になったということですよ」