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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(六)結納の行方

野村 胡堂

野村胡堂『銭形平次捕物控(六)結納の行方』。同一底本的分册已合并为一书。收入:銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、随筆銭形平次。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 142,597 字 · 289 页

青空文庫

四

四

お寅の里は葛西の百姓、死体はその日のうちに、親が来て引取りましたが、下手人の見当はまるっきり付きません。

お勢というのは、山の手辺の物持の後家で、継子と折合が悪くて、本所へ独り暮しをしているということでしたが、近所の噂では、夜な夜な男が忍んで来ると言っております。たぶん近所の誰かが、世話を焼いているのでしょう。いろいろ手を尽して調べましたが、本人が口を緘んで言わないのと、肝腎の下女が死んでしまったので、突き止める手蔓もありません。その晩は葛西のお寅の親元、お勢の本家、と手を尽して探しましたが、何としても手掛りらしいものが掴めません。たぶん、流しの強盗が、前の晩入って収入が少なかったために、翌る日は下女一人のところを狙って、また入ったのであろう、――利助の子分も、近所の衆も、そういったことで片付けてしまったものです。

「そんなはずはない」

平次は一人思い悩みました。

引返して、もう一度、お勢の家を訪ねたのは、その晩の亥刻(十時)頃。

「まア、親分、よくいらっしゃいました。淋しくて、淋しくて私はもうどうしようかと思っていたところでした」

お勢は手を取らぬばかりに引入れます。