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ながさきのかね
長崎の鐘
永井 隆
「長崎の鐘」日比谷出版、1949(昭和24)年1月30日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 65,109 字 · 131 页
「すぐ来てください。学生たちが死にかけとる。もう半分以上は死んじもうた。注射しに来てくださいよ。見殺しじゃけん。薬専の壕じゃ」
「すぐ行きます。さあ、まあ南瓜でもお上がりなさいよ」
「いや、南瓜どころじゃなか。南瓜を何百食ったって学生は助からん。すぐ行きましょうや」
施先生、婦長、橋本君、小笹君が医療袋をもって立ち上がった。清木先生は史郎から手をひいてもらって、やっと立ち上がることができた。
「大学はなくなってしもうた。とにかく、えらいこっちゃ。みんな死んでしもうた。途中はひどいんだぜ。たった三百メートルしかないのに一時間かかった。それじゃ、また来ます。ああ、よかった。学生が助かります」
先生は婦長さんの肩につかまり、よろよろしながら再び燃える大学の中へ入って行った。この一隊はこの夜を基礎医学教室の裏丘を中心に、残りの大倉先生、山田君らの一隊はここの仮小屋を中心に夜間の救護をつづけるのである。私と梅津君とは仮小屋の藁の中に寝せられた。虫も死に絶えたものとみえて、あたりは寂莫としている。
地に満ち空を焦がす大火の反映の明かりを頼りに呻き声にひかれて傷者に近づき、傷を巻き注射をし、これを抱いて引きあげてくる。