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ようきなきゃく

陽気な客

山本 周五郎

「苦楽」苦楽社、1949(昭和24)年8月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 23,086 字 · 46 页

青空文庫

と云ってみたところで些細なものなんでね、そのためにおれが娯楽ものを持って廻る理由はない。

――きみとはそこは立場が違うんだ。

――おれとしてはそこまでは品性を下げたくはないんだ。……うん注いでくれ。

――どうやら少しばかり人間らしくなってきたね、久しぶりだもんだから胃袋のやつ吃驚してるんだろう。それほどにはしけてるというわけもないんだがね、このところ腎臓が悪いような具合だったのさ。女房のやつが再来月また子を産むし、先月は先月でいちばん上の娘が入院しちゃってね、そんなごたいそうなものでもなかったんだが。……おれたち自由主義時代に育った人間は子供にあまくってだめだ。……きみ、病院なんていってもこの節はきみどうして馬鹿にはならない。

――本当に知らないかね仲井天青を。そうかなあそんな筈はないと思うんだがなあ。……本当に知らないとすればきみは不幸だ。仲井天青、……おれは涙が出てくる。

――小山内さんが土曜劇場、……だったか自由劇場だったか、いや土曜劇場だったな慥か、あれをやっていた当時のことを知ってるだろう、それと対抗して人間劇場というのを主宰していたのが仲井天青さ。