轻松读懂日语经典作品
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あめあがる
雨あがる
山本 周五郎
「サンデー毎日涼風特別号」毎日新聞社、1951(昭和26)年7月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 21,794 字 · 43 页
……主膳のあとから伊兵衛が入ってゆくと、その控えのほうからも三人、こちらと間を合わせるように出て来た。だがどうしたことか、その三人の中の一人は、伊兵衛の姿を見るとぎょっとし、伴れの者になにごとか云うと、そのまま控え部屋へ引返してしまった。
伊兵衛はべつに気にもとめず、隅へいって袴の股立をしぼり、大六の持って来た木刀の中からよく選みもせずに一本取った。鉢巻も襷もしないのである。向うでも一人が支度をし、やや長い木刀を持って、主膳になにか囁いていた。二十七八になる小柄な青年で、色の黒い精悍そうな顔に、白い歯が際立ってみえた。
やがて主膳の紹介で二人は相対した。青年は原田十兵衛というそうで、伊兵衛の構えを見ると、にやっと微笑した。腰の伸びた間のぬけたような構えが可笑しかったらしい。伊兵衛はそうとも知らず、眼を細くして頬笑み返し、おまけにひょいとおじぎをしたので、原田青年は危うく失笑しそうになった。むろん失笑しはしない。辛くもがまんしたが、大いに気は楽になったらしく、積極的に掛け声をあげて、頻りに闘志の旺んなところを示した。
伊兵衛の構えはずんべらぼうとしたものだった。