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ゆき

雪

中谷 宇吉郎

「雪」1938(昭和13)年 11月20日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 77,536 字 · 152 页

青空文庫

その生成条件をきめるものは、第一に過飽和の度合であり、この点は人工霜と同様であった。そして今度の実験では、その外に結晶の出来る所の気温、対流の様子などによってもかなりの影響をうけることが分った。この実験に用いた装置は前出の第37図に示すものであって、これではまだ不十分な点が沢山あるのであるが、とにかくこれで雪の結晶が人工的に出来ることになったのである。

「第38図」のキャプション付きの図

第38図

前の実験に用いた装置が不十分であるというのは、第一にあの装置では内部の空気の対流がどうなっているか全然見当がつかなかったのである。それで今度は前の装置を少し改良して第38図のようなものを作った。

これは大部分硝子製で、大小二本の硝子管を図の如く立てて、暖い水蒸気は内部の管内を上昇し、冷えた空気は二本の硝子管の間を下りるようにした。即ち空気は第38図に矢印で示したような経路の対流を起すのである。図中Cは銅板の蓋でその内面にはDなるコルクまたは木の板を置いた。Dは結晶が直接冷たい銅板に面しないために挿入したもので、Dの有無によって結晶の出来る所の気温T_aの数式の値は著しく左右される。