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ゆき

雪

中谷 宇吉郎

「雪」1938(昭和13)年 11月20日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 77,536 字 · 152 页

青空文庫

われわれがよく見る普通のハロは、太陽や月のまわりに円く出るものが多い。俗に傘というのがそれである。このハロが太陽や月のまわりに出来ると天候が変ると昔からいわれているが、実際上かなりの程度に適中するようである。この普通のハロは何故出来るかというと、多くは日や月の面が雨雲で覆われた場合、太陽や月から来る光が雨雲の無数の微水滴で散乱されるためなのである。それでハロの大きさを測定すると、それに光学上の理論を適用して、ハロを生ずる雨雲の水滴の直径が計算出来るのである。これが普通われわれの見受ける所の即ち雨雲に出来るハロであるが、稀には巻雲や巻層雲にハロが現れることがある。

巻雲というのは一番高いところに現れる雲であって、その場所の気温は零下十度あるいはそれよりもずっと以下と考えられる。ところでそういう気温の低いところでは水滴は存在し得ないことは明かであるから、この巻雲あるいは巻層雲は氷晶であろうということが考えられるのである。

今われわれの問題に直接関係のあるのは巻雲あるいは巻層雲であるが、一応雲の名称について説明しよう。雲にはいうまでもなくいろいろの種類があって、その千種万態の様子は説明が困難な位であることは誰もが毎日目撃する通りである。