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ゆきこんじゃくものがたり

雪今昔物語

中谷 宇吉郎

「自然」1947(昭和22)年6月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,695 字 · 32 页

青空文庫

二〇

まだ初等科二年生の清宮様が、きちんと椅子に腰かけられて、お行儀よく初めからお仕舞まで、ちゃんとお聞き下さったのにはすっかり感心した。お話の前に、その点が少し心配だったので、お付きの方に伺ったら「清宮様はまだお小さいが、大変御利発だから多分おわかりになりましょう」ということであったが、そのとおりであった。

お話がすんで、控の間で夕飯を頂戴していたら、女官長がみえて「宮様方はみなさん大変御満足の御様子です。義宮様はニュースはあまり早く動くのでよくわからなかったが、幻燈というものは、大変いいものだとおっしゃっております」というお話であった。

照宮様にも前に札幌で雪の写真をお目にかけて、御説明を申し上げたことがある。今度の上京で、皇室の方々が、両陛下をはじめ、皆様科学に深い御理解と御興味とをおもち下さっていることを知って、大変有難いことと感激を深くした。

二〇

日本の科学者は、従来もまた現在も、ひどい逆境におかれている。政府からも国民からも、適当に敬遠されながら、冷遇されている。というよりも無視されていると言った方が当っているかもしれない。私などは、その中では非常に運のよい方で、分にすぎた名誉と光栄とをたびたびこうむっているが、よく考えてみると、その起因となったものは、米英両国の学者たちの好意と、皇室の恩寵とにあっ