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しんさいにっし

震災日誌

喜田 貞吉

「社会史研究 第一〇巻第三号」1923(大正12)年11月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 19,617 字 · 40 页

青空文庫

これは奇蹟というよりむしろ奇遇というべきものだ。前豊山中学校長で自分ら仲間の日本歴史地理学会の幹事を久しく勤めておられた文学士宮崎栄雅君は、今は佐渡へ帰ってお寺の御住職で納まっておられるのだが、その長女がかねて東京に遊学しておられ、今度その大阪なる兄の娘、すなわち宮崎君には姪なる人も東京の学校に学ばれることになったので、その二少女と祖母の君とが、九月の新学期から東京でしかるべき家を借りて住まわれる都合になり、このほど夫人がこの三女同伴上京して、借宅の見付かるまでと京橋の知人の家に寄寓しておられた。ところでこの大地震だ。その京橋の家からは御多分に漏れず焼け出された。安否のほども不明で、かれこれ噂しながらもそれを尋ねる余裕だもなくて、空しく数日を経過したのであったが、今朝になってちょうど夫人がヒョッコリ学会の事務所へ訪れられた。ちょうどこれと同じころに佐渡からは宮崎君が家族の安否を気づかって駆けつけられた。大阪からも兄なる人が駆けつけられた。一族一時に同じ所に落ち合って、互いに無事を祝しあったことであった。これもめでたい。

夕方に次男同伴で護国寺境内を見てまわる。