轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

いずこへ

風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇

坂口 安吾

坂口安吾『風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇』。同一底本的分册已合并为一书。收入:いずこへ、青い絨毯、石の思い、オモチャ箱、篠笹の陰の顔、天才になりそこなった男の話、二十七歳、母、魔の退屈、私は海をだきしめていたい、流浪の追憶。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 119,879 字 · 242 页

青空文庫

こっちが変なものだ。

宜しい。では横須賀へ行ってみましょうと言うだけのことでも、大人げなくて言い切れない有様である。庭に篠笹の植込があって幽かにゆれているのを、私は喋る気がしなくなって、実に長いこと睨んでいた。じゃ、横須賀へ行ってきます、私がそう言うつもりで少女の方を振向いたら、やっぱり微笑していた。

私は横須賀へ行った。旅館できくと、彼は逗子へ海水浴にでかけて不在だと言った。死ぬ者は死ぬ。帰りを待って会ってみても仕方がない。私はそのまま戻ってきた。

数日後少女から手紙がきた。兄が無事帰ったという知らせで、自殺する筈の男が海水浴に行っていたということを余程の悪徳と考えたらしく、兄に代って弁解と詫びが連ねてあった。

高木に会ったとき、妹の齢を尋ねた。十九だと答えた。その春女学校を卒業して女子大学の学生だというのである。

「それじゃない。その下の人だよ」

「僕の妹はひとりしかないのだ」

これをそっくり鵜呑みにするには奇蹟を信じる精神がいる。小学校の六年生と思いこんでいたのである。

高木の父は高名な陰謀政治家で(彼は妾腹である)そのころ大事件の中心人物であった。