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いずこへ

風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇

坂口 安吾

坂口安吾『風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇』。同一底本的分册已合并为一书。收入:いずこへ、青い絨毯、石の思い、オモチャ箱、篠笹の陰の顔、天才になりそこなった男の話、二十七歳、母、魔の退屈、私は海をだきしめていたい、流浪の追憶。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 119,879 字 · 242 页

青空文庫

然しながら、この女の最後のものは自分の陶酔ということだけで、天性の自己犠牲の魂はなかった。裸になれば、それまでだ。どんなにウブに見せ、襟足や腕の露出の程度に就て魅力を考えても、裸になれば、それまでのことだ。その真実の魂の低さに就て、この女はまったく悟るところがなかった。

私はそのころ最も悪魔に就て考えた。悪魔は全てを欲する。然し、常に充ち足りることがない。その退屈は生命の最後の崖だと私は思う。然し、悪魔はそこから自己犠牲に回帰する手段に就て知らない。悪魔はただニヒリストであるだけで、それ以上の何者でもない。私はその悪魔の無限の退屈に自虐的な大きな魅力を覚えながら、同時に呪わずにはいられなかった。私は単なる悪魔であってはいけない。私は人間でなければならないのだ。

然し、私が人間になろうとする努力は、私が私の文学の才能の自信に就て考えるとき、私の思想の全部に於て、混乱し壊滅せざるを得なかった。

するともう、私自身が最も卑小なエゴイストでしかなかった。私は女を「所有した」ことによって、女の存在をただ呪わずにいられなかった。私は私の女の肉体が、その生殖器が特別魅力の少いことに就てまで、呪い、嘆かずにいられなかった。