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いずこへ

風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇

坂口 安吾

坂口安吾『風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇』。同一底本的分册已合并为一书。收入:いずこへ、青い絨毯、石の思い、オモチャ箱、篠笹の陰の顔、天才になりそこなった男の話、二十七歳、母、魔の退屈、私は海をだきしめていたい、流浪の追憶。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 119,879 字 · 242 页

青空文庫

「あなたのマダムのからだ、魅力がありそうね」

「魅力がないのだ。凡そ、あらゆる女のなかで、私の知った女のからだの中で、誰よりも」

「あら、うそよ。だって、とても、可愛く、毛深いわ」

私は私の女の生殖器の構造に就て、今にも逐一語りたいような、低い心になるのであったが、私自身がもはやそれだけの屑のような生殖器にすぎないことを考え、私はともかく私の女に最後の侮辱を加えることを抑えている私自身の惨めな努力を心に寒々と突き放していた。

「君は何人の男を知った?」

「ねえ、マダムのあれ、どんな風なの? ごまかさないで、教えてよ」

「君のを教えてやろうか」

「ええ」

女は変に自信をくずさずに、ギラギラした眼で笑って私を見つめている。

私はそのときふと思った。それは女のギラギラしている眼のせいだった。私はスタンドの汚い女を思ったのだ。あの女は酔っ払うといつも生殖器の話をした。男の、又、女の。そして、私に泊らないかと言う時には、いつもギラギラした眼で笑っていた。

私は今度こそあのスタンドへ泊ろうと思った。一番汚いところまで、行けるところまで行ってやれ。そして最後にどうなるか、それはもう、俺は知らない。