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いずこへ
風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇
坂口安吾『風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇』。同一底本的分册已合并为一书。收入:いずこへ、青い絨毯、石の思い、オモチャ箱、篠笹の陰の顔、天才になりそこなった男の話、二十七歳、母、魔の退屈、私は海をだきしめていたい、流浪の追憶。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 119,879 字 · 242 页
私は得意であった。そしてアキの帰ったのちに、さらに芸者をよんで、夜更けまで酒をのんだ。そして翌日アパートへ帰ると、胃からドス黒い血を吐いた。五合ぐらいも血を吐いた。
然し、アキの復讐はさらに辛辣だった。アキは私の女に全てを語った。それはあくどいものだった。肉体の行為、私のしわざの一部始終を一々描写してきかせるのだ。私の女のからだには魅力がないと言ったこと、他の誰よりも魅力がないと言ったこと、すべて女に不快なことは掘りだし拾いあつめて仔細に語ってきかせた。
★
私は女のねがいは何と悲しいものであろうかと思う。馬鹿げたものであろうかと思う。
狂乱状態の怒りがおさまると、女はむしろ二人だけの愛情が深められているように感じているとしか思われないような親しさに戻った。そして女が必死に希っていることは、二人の仲の良さをアキに見せつけてやりたい、ということだった。アキの前で一時間も接吻して、と女は駄々をこねるのだ。
こういう心情がいったい素直なものなのだろうか。私は疑らずにいられなかった。どこかしら、歪められている。どこかしら、不自然があると私は思う。