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いずこへ

風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇

坂口 安吾

坂口安吾『風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇』。同一底本的分册已合并为一书。收入:いずこへ、青い絨毯、石の思い、オモチャ箱、篠笹の陰の顔、天才になりそこなった男の話、二十七歳、母、魔の退屈、私は海をだきしめていたい、流浪の追憶。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 119,879 字 · 242 页

青空文庫

私は小学校へ上らぬうちから新聞を読んでいた。その読み方が子供みたいに字を読むのが楽しくて読んでいるのではないので、書いてあることが面白いから熱読しており、特に講談(そのころは小説の外に必ず講談が載っていた。私は小説は読まなかった。面白くなかったのだ)を読み、角力の記事を読む。この角力の記事には当時は必ず四十八手の絵がはいっており、この絵がひどく魅力であったのを忘れない。私は小学校時代は一番になったことは一度もない。一番は必ず山田というお寺の子供で二番が私か又は横山(後にペンネームを池田寿夫という左翼の評論家か何かになった人である)という人で、私はたいがい横山にも負けて三番であったように記憶する。私は予習も復習も宿題もしたためしがなく、学校から帰ると入口へカバンを投げ入れて夜まで遊びに行く。餓鬼大将で、勉強しないと叱られる子供を無理に呼びだし、この呼びだしに応じないと私に殴られたりするから子供は母親よりも私を怖れて窓からぬけだしてきたりして、私は鼻つまみであった。外の町内の子供と喧嘩をする。すると喧嘩のやり方が私のやることは卑怯至極でとても子供の習慣にない戦法を用いるから、いつも憎まれ、着ている着物は一日で破れ、いつも乞食の子供のような破れた着物をきていた。