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こくしかんさつじんじけん
黒死館殺人事件
小栗 虫太郎
「新青年」博文館、1934(昭和9)年4月号~12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 296,741 字 · 584 页
凶鐘にて人形(カラギヨス――土耳古(トルコ)の操人形)を喚び覚ませ、奢那教徒ども(仏教と共通点の多い姉妹的宗教)は地獄の底に横たわらん。(以上は、判読的意訳である)
そして、次の一文が続いていた。それは文意と云い、創世記に皮肉嘲説を浴びせているようなものだった。
――(訳文)。エホバ神は半陰陽なりき。初めに自らいとなみて、双生児を生み給えり。最初に胎より出でしは、女にしてエヴと名付け、次なるは男にしてアダムと名付けたり。しかるに、アダムは陽に向う時、臍より上は陽に従いて背後に影をなせども、臍より下は陽に逆いて、前方に影を落せり。神、この不思議を見ていたく驚き、アダムを畏れて自らが子となし給いしも、エヴは常の人と異ならざれば婢となし、さてエヴといとなみしに、エヴ妊りて女児を生みて死せり。神、その女児を下界に降して人の母となさしめ給いき。
法水は、それにちょっと眼を通しただけだったが、検事と熊城はいつまでも捻くっていて、しばらく数分のあいだ瞶めていた。しかし、ついにつまらなそうな手付で卓上に投げ出したけれども、さすが文中に籠っているディグスビイの呪詛の意志には、磅と迫ってくるものがあったのは事実だった。