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あさひのよろい

あさひの鎧

国枝 史郎

線上閱讀国枝 史郎《あさひの鎧(あさひのよろい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 239,520 字 · 475 頁

青空文庫

鷲っ鼻の武士の体を見れば、鳩尾から背中まで充分に、太刀が貫き通されていた。

「斬られた!」

「死んでる!」

「お侍さんだ!」

「誰がいったい殺したんだ!」

忽ち混乱が湧き起こった。

そういう混乱を後にして、大木戸の方へ寂しそうに、肩を下げ首を垂れた盲人が一人おぼつかなげに歩いて行った。

大木戸警護の武士たちは、混乱の渦や喚声に驚き、その数人が走って来、爾余の者も怪訝そうな顔をして、混乱の方へ注意を向け、誰一人盲人が裾のあたりへ、血のしぶきを付けた姿で、大木戸を通りぬけ、伏見街道へ出たのに、注意を払おうとはしなかった。

範覚もポカンとして立っていた。

(俺の人気を誰が攫ったんだ)

と、云うような顔をして、ポカンとして立っていた。

と、そこへ異様な行列が、町の方からやって来た。

それは諸国を巡って歩く、大掛かりの香具師の群れであった。

数台の牛車には、熊や狼や、猿や狐や狸や猪や、鹿など入れた巨大な檻が、幾個となく積まれてあった。

そうして、それの前後左右には、二十余人もの同勢が、陽気に囃しながら従いていた。

男もいれば女もい、老人もいれば老婆もい、子供もいれば小娘もいた。