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あさひのよろい

あさひの鎧

国枝 史郎

線上閱讀国枝 史郎《あさひの鎧(あさひのよろい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 239,520 字 · 475 頁

青空文庫

六波羅探題

人声は乱れた足音と共に、この部屋の方へ寄せて来た。

右衛門はユラリと鉞をあげた。

「でも妾は一人のお方に……」

足音はこの部屋の前まで来た。

「お姫様、一大事!」

部屋の外の男の声が叫んだ。

「誰だ――ッ」

と右衛門は怒号した。

「右衛門か俺じゃ、袈裟太郎じゃ! ……ここ開けてくれ一大事じゃ!」

「うむ袈裟太郎か! 何んだ何んだ!」

右衛門はガラガラと扉をあけた。

と、廊下には細作係りの、風見の袈裟太郎が額に汗かき、大息ついてかしこまっていたが、

「両六波羅騒動じゃ! 内裡攻めんと大騒動じゃ!」

六波羅探題

「ナニ六波羅が内裡を攻める※(感嘆符疑問符、1-8-78)」

こう云いながら立ち上がったのは、身をひきしめていた桂子であった。

ツカツカと戸口へ近寄ったが、

「袈裟太郎や、くわしくお云い!」

「は」

と袈裟太郎は一揖し、

「お命令によりまして私はじめ、雉六、石丸、椋右衛門など、六波羅方の動静を、日夜うかがいおりましたるところ、今夜にいたりまして活溌となり、早馬数騎鎌倉さして、馳せ下るよう見うけましたれば、途中に要して取って抑え、事情責め問いいたしましたるところ、宮方ご謀反内通者あって分明、そこで鎌倉へ注進し、兵を乞うとの意外の話……」