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あさひのよろい

あさひの鎧

国枝 史郎

線上閱讀国枝 史郎《あさひの鎧(あさひのよろい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 239,520 字 · 475 頁

青空文庫

城の外廓が鉄板で鎧った、宏大極まる桶かのように、桂子たちの眼前に聳えていた。

と、桂子が二言三言、何やら袈裟太郎へ囁いた。

すると袈裟太郎は頷いて、そっと案内の武士の側へ寄り、横腹のあたりへ拳をあてた。

「!」

異様な悲鳴をあげたばかりで、案内の武士は気絶して仆れた。

「その男の上帯をお取り」

桂子はそう云った。

今は可哀そうな案内の武士の、一丈あまりの白い上帯が、袈裟太郎の手によってほぐされた。

「その男を始末おし、そうしてわたしがおいでというまで、お前たちはこの辺で待っておいで」

白の上帯を受取りながら、桂子は右衛門と袈裟太郎とへ云った。

「で、お姫様にはどうなされます?」

と、心配そうに右衛門は云って、大鉞の柄へ頤をのせた。

「わたしは一本の白布となって、お城の中へはいって行くのさ」

「ははあ上帯に身を変じて?」

「そうだよ、上帯に身を変じてね」

「お一人で大丈夫でございましょうか」

と、袈裟太郎が不安そうに云った。

「飛天夜叉には危険はないよ」

「さようで」

と右衛門が大きく頷いた。

「飛天夜叉様は術者でございますからなあ」

気絶して仆れている案内の武士の、死骸のような躰の横に、佇んでいる右衛門と袈裟太郎には、田舎娘に扮していたところの、桂子の姿が見えなくなり、鉄板でも張ったような城壁の裾を、白布が高く宙に延び、二