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あさひのよろい
あさひの鎧
国枝 史郎
線上閱讀国枝 史郎《あさひの鎧(あさひのよろい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 239,520 字 · 475 頁
二人はここで黙った。
それにしても何んという対照だろう!
野を越えたかなたにお館があって、そこでは無礼講の乱痴気さわぎが、華やかに享楽的に人間的にさも陽気に行われているのに、同じ野を越したこちらには、荒れた野の宮を中心にして、年を経た松や桧や杉、梧桐や柏の喬木が、萩や満天星や櫨などの、灌木類とうちまじり、苔むした岩や空洞となった腐木が、それの間に点綴され、そういうおそろしい光景を、焚火の光が幽かに照らし、幽暗とした他界的な、非人間的なたたずまいを、現出させているではないか。
しかもそういう自然に包まれ、話しているところの生物といえば、人間には相違なかったが、人間的の力を持った、妖精じみた女性なのであった。
が、それにしても鬼火の姥とは、どういう素性の女なのであろう?
飛天夜叉の素性が解らないように、この老婆の素性もわからないのであった。
しかし一般に知れていることは、深山で長く修行をして、超人間的の魔力を持った、恐ろしい巫女だということと、飛天夜叉とは反対に、武家方の味方だということと、木精や水の精や山神をさえ眷族として自由に使う、そういう女だということであった。