輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

あさひのよろい

あさひの鎧

国枝 史郎

線上閱讀国枝 史郎《あさひの鎧(あさひのよろい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 239,520 字 · 475 頁

青空文庫

浮藻もさすがに嬉しそうに云い、

「世間って親切なものですわねえ」

「へい、親切でございますとも」

二人はその家の門の戸をあけた。

「ごめんください」

と声かけた。

誰も返辞をしなかった。

暗い土間から見えるものは、古びた板戸としみのある古襖と、鼡の走っている破損れた床と、それらをぼんやり照らしている、今にも消えそうな紙燭とであった。

「うすっ気味の悪い家ですねえ。……といって夜道を行きもならない。……燈火がともっているからには、住人があるには相違ない。……どこかへ用にでも行ったのでしょう。……叱られたら詫びるとして、ともかくも上がっておりましょうよ」

こう云って範覚が上がったので、浮藻も従いて上がって行った。

燈火の側へ坐り込み、家内の様子をうかがったが、蛇が鼡でも追っているらしく、天井裏でけたたましい音が、ひとしきり聞こえて来たばかりで、ほかに物音はしなかった。

しかしその時庭の方から、物を磨ぐ音が聞こえて来た。

「気味が悪いや」

と範覚が云った。

「ありゃア刃物を磨ぐ音だ」

「範覚さん」

と浮藻は顫え、

「出かけましょうよ。行きましょうよ」

「ナーニ」

と範覚は立ち上がった。