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せかいのいっかんとしてのにほん
世界の一環としての日本
戸坂 潤
線上閱讀戸坂 潤《世界の一環としての日本(せかいのいっかんとしてのにほん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 215,338 字 · 422 頁
処で今日までの新聞のこうした自由主義を代表するものが、『朝日新聞』なのである。『朝日新聞』が日本の新聞紙の代表だと云われる点は、吾々にとってはここにあった筈である。
従来批判的意識を持ったものは、日本では(勿論大抵の外国でもそうだが)インテリゲンチャである。無産者はブルジョア教育の水準が低いし、この教育上の不遇を蹴飛ばすだけの独自の文化意識もまだ持っていなかったから、要するに批判的知能は低かった。また日本の支配機構の枢要な椅子を占めるブルジョア・地主・政治家・軍閥・官僚・其の他は、日本では社会の文化の発達とはあまり関係なしに、伝習的な又は旧常識による便宜に於てしか知能生活を持っていない。之は日本に独特な滑稽な現象と云わねばならぬが、それで結局、批判的知能の所有者たるインテリゲンチャは、今はその大部分を中間層の中に見出すわけだ。処でこの中間層インテリの最も高級な分子が『朝日』の読者をなしている。だからこれだけでも明らかなように、『朝日新聞』特に『東京朝日新聞』(なぜなら文化の社会的に独自の勢力を持っているのは換言すれば東京だけだから――東京に於けるインテリ市民の重要性を見よ)は、中間インテリの少なくとも知能よりする利害感を代弁し、又それに基いて支配機構に対する批判の役目を果しているのである。