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せかいのいっかんとしてのにほん
世界の一環としての日本
戸坂 潤
線上閱讀戸坂 潤《世界の一環としての日本(せかいのいっかんとしてのにほん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 215,338 字 · 422 頁
16 日本主義の文学化
日本の芸術批評が批評として重みをもち得ないのも、決して偶然ではない。そこには元来、批評らしい批評、民衆による社会的批評なるものは殆どないのが当然だからだ。日本では禁止すべき「無責任」な芸術批評さえが、ないのではなかろうか。で、防共文化の日独協定の方は多少脾肉の嘆に耐えぬものがあるかも知れぬ。
(一九三六)
16 日本主義の文学化
儀礼というものがある。これは一元を好むものだ。たとい夫婦喧嘩をしていても、他人に会った時には夫婦一体のような顔をするのが儀礼というものだ。二元外交とか二重外交とかいうが、現実に公式に攻撃する時には相手は一元的なもののように想定される。そうしないと相手の方で相手にならないからである。修身の話を聞いても、修養講話を聞いても、話は思い切りよく一元的だ。下手な形而上学のようにまことにおめでたく出来ている。矛盾などどこにあるかというような顔だ。
儀礼は勿論道徳の一部類である。本質的に道徳的なものなのである。つまり民族礼式というようなものなのだ。この民族礼式の前で、うっかり民族自身の持っている矛盾や二重性を卒直にぶちまけて見給え。忽ちにして座は白けて、事は面倒になって来るだろう。