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ちゅうごくかいきしょうせつしゅう
中国怪奇小説集
岡本 綺堂
線上閱讀岡本 綺堂《中国怪奇小説集(ちゅうごくかいきしょうせつしゅう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 179,458 字 · 363 頁
坡を監督する役人は丁初といって、大雨のあるごとに破損の個所の有無を調べるために、坡のまわりを一巡するのを例としていた。時は春の盛りで、雨のふる夕暮れに、彼はいつものように坡を見まわっていると、ひとりの女が上下ともに青い物を着けて、青い繖をいただいて、あとから追って来た。
「もし、もし、待ってください」
呼ばれて、丁初はいったん立ちどまったが、また考えると、今頃このさびしい所を女ひとりでうろ付いている筈がない。おそらく妖怪であろうと思ったので、そのまま足早にあるき出すと、女もいよいよ足早に追って来た。丁はますます気味が悪くなって、一生懸命に駈け出すと、女もつづいて駈け出したが、丁の逃げ足が早いので、しょせん追い付かないと諦めたらしく、女は俄かに身をひるがえして水のなかへ飛び込んだ。
かれは大きな蒼い河獺で、その着物や繖と見えたのは青い荷の葉であった。
祭蛇記
東越の中に庸嶺という山があって、高さ数十里といわれている。その西北の峡に長さ七、八丈、太さ十囲えもあるという大蛇が棲んでいて、土地の者を恐れさせていた。
住民ばかりか、役人たちもその蛇の祟りによって死ぬ者が多いので、牛や羊をそなえて祭ることにしたが、やはりその祟りはやまない。