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ちゅうごくかいきしょうせつしゅう

中国怪奇小説集

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《中国怪奇小説集(ちゅうごくかいきしょうせつしゅう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 179,458 字 · 363 頁

青空文庫

雷を罵る

女の名は百余人の多きにのぼって、顧旃のむすめの名もそのうちに記されていたが、幸いにまだ朱を引いていなかった。

雷を罵る

呉興の章苟という男が五月の頃に田を耕しに出た。かれは真菰に餅をつつんで来て、毎夕の食い物にしていたが、それがしばしば紛失するので、あるときそっと窺っていると、一匹の大きい蛇が忍び寄って偸み食らうのであった。彼は大いに怒って、長柄の鎌をもって切り付けると、蛇は傷ついて走った。

彼はなおも追ってゆくと、ある坂の下に穴があって、蛇はそこへ逃げ込んだ。おのれどうしてくれようかと思案していると、穴のなかでは泣き声がきこえた。

「あいつがおれを切りゃあがった」

「あいつどうしてやろう」

「かみなりに頼んで撃ち殺させようか」

そんな相談をしているかと思うと、たちまちに空が暗くなって、彼のあたまの上に雷の音が近づいて来た。しかも彼は頑強の男であるので、跳りあがって大いに罵った。

「天がおれを貧乏な人間にこしらえたから、よんどころなしに毎日あくせくと働いているのだ。その命の綱の食い物をぬすむような奴を、切ったのがどうしたのだ。おれが悪いか、蛇が悪いか、考えてみても知れたことだ。