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ちゅうごくかいきしょうせつしゅう

中国怪奇小説集

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《中国怪奇小説集(ちゅうごくかいきしょうせつしゅう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 179,458 字 · 363 頁

青空文庫

熊の母

「それでは、あなたの姓名はなんというのですか」

「おれの名をきいてどうするのだ」

「ぜひ教えてください」

「忌だ、いやだ」

なにを言っても取り合わない。そのうちに彼の家はだんだん近くなったので、怪物は悲しげに言った。

「わたしを赦してもくれず、また自分の姓名を教えてもくれない以上は、もうどうにも仕様がない。わたしもむなしく殺されるばかりだ」

王は自分のうちへ帰って、すぐにその怪物を籠と共に焚いてしまったが、寂としてなんの声もなかった。土地の人はこのたぐいの怪物を山と呼んでいるのである。かれらは人の姓名を知ると、不思議にその人を傷つけることが出来ると伝えられている。怪物がしきりに王の姓名を聞こうとしたのも、彼を害して逃がれようとしたものらしい。

熊の母

東晋の升平年間に、ある人が山奥へ虎を射に行くと、あやまって一つの穴に堕ちた。穴の底は非常に深く、内には数頭の仔熊が遊んでいた。

さては熊の穴へはいったかと思ったが、穴が深いので出ることが出来ない。そのうちに一頭の大きい熊が外から戻って来たので、しょせん助からないと覚悟していると、熊はしまってある果物を取り出してまず仔熊にあたえた。