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ちゅうごくかいきしょうせつしゅう

中国怪奇小説集

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《中国怪奇小説集(ちゅうごくかいきしょうせつしゅう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 179,458 字 · 363 頁

青空文庫

武陵桃林

女は早々に出て行った。雷車を推せとはどういう事であろうと、周は従者らと噂をしていると、やがて夜半から大雷雨になったので、三人は顔をみあわせた。

雷雨は暁け方にやむと、つづいて女は帰って来たので、彼女がいよいよ唯者でないことを三人は覚った。鄭重に礼をのべて、彼女にわかれて、門を出てから見かえると、女のすがたも草の家も忽ち跡なく消えうせて、そこには新しい塚があるばかりであったので、三人は又もや顔を見あわせた。

それにつけても、彼女が「臨賀までは遠い」と言ったのはどういう意味であるか、かれらにも判らなかった。しかも幾年の後に、その謎の解ける時節が来た。周は立身して臨賀の太守となったのである。

武陵桃林

東晋の太元年中に武陵の黄道真という漁人が魚を捕りに出て、渓川に沿うて漕いで行くうちに、どのくらい深入りをしたか知らないが、たちまち桃の林を見いだした。

桃の花は岸を挟んで一面に紅く咲きみだれていて、ほとんど他の雑木はなかった。黄は不思議に思って、なおも奥ふかく進んでゆくと、桃の林の尽くるところに、川の水源がある。そこには一つの山があって、山には小さい洞がある。