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ちゅうごくかいきしょうせつしゅう

中国怪奇小説集

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《中国怪奇小説集(ちゅうごくかいきしょうせつしゅう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 179,458 字 · 363 頁

青空文庫

「あしたの午ごろ、変った色の人間が門に入ろうとしたら、容赦なく打ち叩け。打ち殺しても差し支えない」

門卒らはかしこまって待っていると、翌日の巳の刻を過ぎて午の刻になった頃、二人の尼僧が東の方角の百歩ほどの所から歩いて来た。別に変ったこともなく、かれらは相前後して門前に近づいた。見ればかれらは紅白粉をつけて、その艶容は娼婦の如くであるのみか、その内服は真っ紅で、下飾りもまた紅かった。

「こんな尼があるものか」と、卒は思った。かれらは棒をもって滅多打ちに打ち据えると、二人の尼僧は脳を傷つけ、血をながして、しきりに無罪を泣き叫びながら、引っ返して逃げてゆく。その疾きこと奔馬の如くであるのを、また追いかけて打ち据えると、かれらは足を傷つけられてさんざんの体になった。それでも百歩以上に及ぶと、その行くえが忽ち知れなくなった。

門卒はそれを賈耽に報告して、他に異色の者を認めず、唯かの尼僧の衣服容色が異っているのみであったと陳述すると、賈は訊いた。

「その二人を打ち殺したか」

脳を傷つけ、足を折り、さんざんの痛い目に逢わせたが、打ち殺すことを得ないでその行くえを見失ったと答えると、賈は嘆息した。