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ちゅうごくかいきしょうせつしゅう

中国怪奇小説集

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《中国怪奇小説集(ちゅうごくかいきしょうせつしゅう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 179,458 字 · 363 頁

青空文庫

慶忌

張允恭は明の天啓年間の進士(官吏登用試験の及第者)で、南陽の太守となっていた。

その頃、河を浚う人夫らが岸に近いところに寝宿りしていると、橋の下で哭くような声が毎晩きこえるので、不審に思って大勢がうかがうと、それは大きい泥鼈であった。こいつ怪物に相違ないというので、取り押えて鉄の釜で煮殺そうとすると、たちまちに釜のなかで人の声がきこえた。

「おれを殺すな。きっとお前たちに福を授けてやる」

人夫らは怖ろしくなって、ますますその火を強く焚いたので、やがて泥鼈は死んでしまった。試みにその腹を剖いてみると、ひとりの小さい人の形があらわれた。長さ僅かに五、六寸であるが、その顔には眉も眼も口もみな明らかにそなわっているので、彼らはますます怪しんで、それを太守の張に献上することになった。張もめずらしがって某学者に見せると、それは管子のいわゆる涸沢の精で、慶忌という物であると教えられた。

(谷の移らず水の絶えざるところには、数百歳にして涸沢の精を生ずと、捜神記にも見えている)。

洞庭の神

梁遂という人が官命を帯びて西粤に使いするとき、洞庭を過ぎた。天気晴朗の日で、舟を呼んで渡ると、たちまちに空も水も一面に晦くなった。