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よあけまえ
夜明け前
島崎 藤村
線上閱讀島崎 藤村《夜明け前(よあけまえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 205,629 字 · 408 頁
その新しい経験は、今までのような遠いところにあるものばかりでなしに、もっと手近なものに彼の目を向けさせた。
「おれはこうしちゃいられない。」
そう思って、辺鄙な山の中の寂しさ不自由さに突き当たるたびに、半蔵は自分の周囲を見回した。
「おい、峠の牛方衆――中津川の荷物がさっぱり来ないが、どうしたい。」
「当分休みよなし。」
「とぼけるなよ。」
「おれが何を知らすか。当分の間、角十の荷物を付け出すなと言って、仲間のものから差し留めが来た。おれは一向知らんが、仲間のことだから、どうもよんどころない。」
「困りものだな。荷物を付け出さなかったら、お前たちはどうして食うんだ。牛行司にあったらよくそう言ってくれ。」
往来のまん中で、尋ねるものは問屋の九太夫、答えるものは峠の牛方だ。
最初、半蔵にはこの事件の真相がはっきりつかめなかった。今まで入荷出荷とも付送りを取り扱って来た中津川の問屋角十に対抗して、牛方仲間が団結し、荷物の付け出しを拒んだことは彼にもわかった。角十の主人、角屋十兵衛が中津川からやって来て、伏見屋の金兵衛にその仲裁を頼んだこともわかった。事件の当事者なる角十と、峠の牛行司二人の間に立って、六十歳の金兵衛が調停者としてたつこともわかった。