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だいぼさつとうげ
大菩薩峠4
中里 介山
線上閱讀中里 介山《大菩薩峠4(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 264,133 字 · 524 頁
「ああ、それではぜひもない」
少年はホッと息をついて、がんりきの面を見ていたが、遽かに声も言葉も打って変り、
「いかにも、わたしが神尾の邸におりました松でござりまする、こうして姿をかえて邸を脱けて出ましたのは、よくよくの事情があればのこと、どうぞお見のがし下さいませ」
「それそれ、それで私も安心を致しましたよ、神尾様のお身内なら、なんの、失礼ながら御親類も同様、これから、お力になってどこへなりと、あなた様のお望みのところへ落着きあそばすまで、このがんりきが及ばずながら御案内を致しまする」
「なにぶん、お頼み致しまする」
なにぶん、頼んでいいのだか悪いのだか知らないが、この場合、お松はこう言ってがんりきに頼みました。
「ようございますとも。さあ、そう事がわかったら、こんな窮屈なところに長居をするではございません、本道をサッサと参りましょう」
それから後は存外無事でありました。無事ではあったけれども、こんなに見透されてしまった上に、これが肩書附きの人間であることがわかってみれば、決して気味のよい道づれではありません。
しかし、こうなってみると、急にこの気味の悪い道づれと離れることもできないで、お松は笹子峠を越してしまいました。