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だいぼさつとうげ

大菩薩峠4

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠4(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 264,133 字 · 524 頁

青空文庫

甲斐の国のことですから、山に不足はありません。多過ぎる山のうちのそのどれを択んでよいかという評議であります。

「富士山に限る」

と言って大手を拡げたのがありました。それと同時に、富士山は甲斐のものである、それは古えの記録を見てもよくわかることである、しかるに中世以来、駿河の富士、駿河の富士と言って、富士を駿河に取られてしまったことは心外千万である、甲斐の者は奮ってその名前を取戻さねばならぬ、なんどと主張しているものもありました。

けれどもこの説は、事柄が壮快であるにかかわらず、事実において問題が残ってありました。

「しからば天子ヶ岳へ登ろう」

と主張する者もありました。名前が貴いからそれで、若い人はそんなことを言い出したものと見えます。

それらを最初にして、いろいろの説が出ました。御岳の奥、金峰山がよかろうというものもありました。或いは天目山を推薦するものもありました。少し飛び離れて駒ヶ岳を指定するものもありました。

その山々の名が呼ばれるに従って、いちいちその山の地勢だの、その山から起った伝説だの、そんなことが青少年の口から口へ泡を飛ばして語り合われるから、なかなか山の相場がきまりません。