輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

しんきだんクラブ

奇談クラブ(全)

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《奇談クラブ(全)(しんきだんクラブ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 104,139 字 · 208 頁

青空文庫

娘の手を握った儘恐ろしい睡魔へ

「すっかり綺麗になったのねえ、そうして居ると、三ちゃんは紳士のように立派よ」

「何をつまらない」

私は噛んで吐き出すように顔を反けました。

昨日まで淡い恋心を寄せたお若が、今日は又何んと言う醜さでしょう。

二人は暫らく黙り込んでしまいました。

お若の溜息を、ツイ耳の側に聴き乍ら、私は昨夜の素晴らしい経験と、あの葉山夫人の愛嬢の美しさを、忘れ兼ねて居りました。

娘の手を握った儘恐ろしい睡魔へ

もう一度、あの晩の若様生活をくり返し度いとは思いましたが、翌る日の夜も、その翌る日の夜も橋の下で寝て、橋の下で覚めました。いろいろの事情を綜合して、あれは夢や幻ではなく、極めて確かな真実の経験だったことは明かですが、日が経つにつれてその自信もぐら付いて、矢張りあれは夢だったかも知れない――と言った、あやふやな心持になるのでした。手足が垢染んで、頭の香油が抜けると、私にはそうより外に考えようが無かったのです。

女乞食のお若は、私が元の通り汚くなって行くのを見て、すっかり有頂天になって居ります。近頃では辻の六蔵などには見向きもせずに、私のところにへばり附いて、私の幻想を打ち壊すことに専念して居るようでもあります。