輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 190,406 字 · 381 頁
と、どなったが、時すでに、潮の如く、幕中へなだれ込んで来た織田勢は、ついそこの幕の外にも、楠の後方にも、彼方の広い場所にも、雄たけびして、駈け歩いていた。
「敵だッ」
「織田勢だッ」
うろたえ呼ぶ味方の上に、槍が刎ね、燃えさしの薪が飛ぶ。
義元は、楠の大樹を後ろに、ものをいう口を忘失していた。その唇を、黒々と光る鉄漿の歯が噛みしめていた。眼の前の現実を、まだ信じられないもののように立っていた。
義元のまわりには、幕将庵原将監がいた。その甥の同苗庄次郎がいた。侍大将落合長門がいた。近習頭沢田長門守、斎藤掃部助、関口越中守などもいた。その他、
牟礼主水。
加藤甚五兵衛。
四宮右衛門佐。
富永伯耆守。
といった旗本の錚々も、硬ばった顔をひしと並べて、
「謀叛かッ」
「謀叛人かッ」
と、繰り返して呶鳴っていた。
それへ答えるのではないが、すでに営中の彼方此方で、敵だッ、敵々ッ、と叫んでいるのが、耳には聞えているのに、なお、頭のどこかに、
(よもや?)
という気があるため、自分らの耳を疑っていたものである。
しかし、それとて、長い時間ではありえなかった。明らかに織田武士の躍る影を見、身近く尾張訛りの聞きつけない怒号を聞き、二、三、こっちを眼がけて、